
疾風怒濤!!
strum und drang!!
「存在するすべてのものは、破壊に値する」
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ (『ファウスト』より)

かつて、我々の世界は神々のものだった。
神々は互いに対立し、互いに団結し、互いに殺しあった。
戦いが力を求め、力が破壊を招いた。
やがて最後の戦いがはじまり、
星をも破壊する神々の力は自らの歴史に終止符を打った。
神々は世界から消え去り、
世界から《魔法》が失われ、
人間の時代が到来することとなる。
この世界が神々のものだった事実は忘れ去られ、
伝説だけが今に残る……
そして時は流れ―――――
西暦1941年6月

「わたしは反対だぞ」
「あたしがポストシュリーマンになるのが?」
「違う。シレナに行くのがだ。
ルクス。見つかったシレナの遺跡ってのはリビアにあるんだろ?クラークさんが行ったのはリビアだ」
「そうよ。サハラ砂漠のど真ん中。これはまさに世紀の大発見よ!」
サハラ砂漠に眠る伝説の国「シレナ」
「で、この《ヘラクレア》の街があの聖ジョージ伝説の元になったシレナの国の首都だったのか?」
「ふふ、伝説ですよ。ただの言い伝え。だって遺跡も何も残ってないんじゃ誰も確かめようがないじゃありませんか。
残っているのはローマの遺跡ですよ。
ローマにようこそハンニバル」
「シレナ」を支配した邪悪なドラゴン
「神(はいるが竜(はいない。信仰と妄想は違うよルクス」
「うわ。言い切りやがった…しかも鼻で笑いやがった」
差し出された生け贄

竜を倒せるのは恐れを知らぬものだけ

軍を追われたプロイセンの騎士
「ヴォルフさん。あなたはなぜそこまでしてくれるんですか?」
「騎士は困っている女の子を放っておかない。そーいうもんだ」
「カッコいい台詞ですけど……これでヴォルフさんは立派なお尋ね者ですよ」
「………」
聖槍「ロンギヌス」を探すナチス親衛隊
「勇者ゲオルギウスがシレナのブラックドラゴンを仕留めたときに使ったという「ロンギヌスの槍」。
これを手にしたものは世界を制することができると言われ、アーサー・ペンドラゴン、カール大帝、ナポレオンも捜索隊を派遣したが…」
「その度になぜか何本も見つかっている」
「おそらく全てが偽者だ。
だいたい槍一本に世界をどうこうできる力があるはずもないだろうに……
上層部は、いやホーヘンハイムはそんなおとぎ話を本気で信じているのか…?」
「おとぎ話をおとぎ話ですまなくしてしまったのはあなたでしょう、大尉。
あなたのような《ルーネン・リッター》がいるから我々《ヴェア・ヴォルフ》が作られたのです」
「…………」
少女を狙う
PAM!PAM!
「無駄だ。俺たちはすでに死んでいる」
「バカな!45口径の弾をまともに喰らって平気だと!化け物め!」
「…化け物、か。たしかにその通りだ」
「アキリーズ。ここは任せたわ。あたしはナオミを追う」
巨大な敵
「ほーほっほっほ!そんなものはわたしには効かな―――」
「…!」
どたん!
口元に手を当てて高らかに笑うテティスの身体が轟音と共に大きく弾かれる。
ルクスの手には背中のホルスターから取り出したショットガンが握られていた。
じゃこん、とポンプを前後に動かして次弾を装填する。
どたん!
じゃこん!
どたん!
じゃこん!
二発、三発と容赦なく散弾銃を撃ち込む。
「だから無駄だと――」
どたん!
テティスの言葉を無視して四発目の散弾が放たれた。
テティスの身体が吹き飛ばされて地べたに伏す。
ルクスはポケットから手榴弾を取り出してピンを抜き、不死身の敵に投げつける。
「伏せて!」
ちゅどおおおん!!
煙とともに大気が震え、爆音が響く。
「はやく逃げるわよ!まったく、拳銃もショットガンも効かないなんて、なんて恐ろしいヤツなの!?」
「……俺はお前の方が恐ろしいと思うぞ」
彼らの目的は
「部下? こいつらは死体だぞ。 ただの化け物相手に何をバカなことを言っているんだ分家?」
「お前だけは……許さん!カエサル!!」
一体?
「……どういう意味ですか中佐」
「大尉。言ったとおりだ。わたしは彼らが存在しているだけで怒りがこみ上げてくる。すべてを浄化しなければならない」
「……正気の沙汰とは思えませんね。旧約聖書の物語を現実に起こそうとは。あなたは≪ノア≫になるおつもりですか」
「ハムナプトラ2」「ヴァン・ヘルシング」
の大ファンが送る
新たなる竜伝説

「……プロイセンの騎士は逃げない、恐れない、ひるまない。だから、絶対に負けない。……よし、いくぜっっ!!」
疾風怒涛の
ベレンナはくるりと後ろを向くと、演技がかった口調で話し始める。
「本来なら力ずくでさらうところだが、それではレディ失礼だ。わたしは女に手荒なことはしたくない。なぜか?それはわたしの教訓だからさ。あれは忘れもしない五年前のことだった。あの夏の日に」
「!」
リューシーは群集の向こうからこちらに物凄い勢いで突進してくるラクダを見つけた。
青で統一された民族衣装を身にまとい、激しく揺れるラクダの背中から地面すれすれまで体を沈め、
「掴まれっっ!!」
「え! え? きゃあっ!」
一瞬にしてヴォルフはリューシーを抱え込みつつその場を駆け抜ける。
「…それがわたしと愛犬ジャックとの出会いだった。・・・? ミス・ナオミ? !! 消えた!」
数秒すると、ようやくリューシーがいなくなったことに気付いたベレンナが慌てていた。
「何やってんだ?あいつは」
「さあ?いきなり一人で話はじめたんですよ。変な人ですね。ホント」
大冒険
「うるさい!俺のケツをなめろ! 交信終了! クソ、こんなことになるなんて! 魔女のバアサンの呪いだわっ!」
「……どこの国の人間だお前は?」
渇いた叫び
「友に対しては友であれ。贈り物には贈り物をもって報いよ。男たるものは嘲笑には嘲笑を持って、偽りには偽りをもってこたえよ」
「何それ?ドイツ軍の訓令?」
「いや。俺の好きな神様の言葉。」
燃え上がれ闘志
「―――――アキリィィィイイイズっっ!」
「!」
「どこへ行くアキリーズ。まだ勝負はついちゃいないぜ!」
「あらあら えらく元気なのはカフェインの浣腸でもしたのかしら?
あのまま死んだフリをしてれば助かったのに、バカな男ね」
「騎士にとって、もっとも大切なものは金でも女でもない。名誉だ。お前ならわかるだろアキリーズ」
「……そうか。お前が望むなら真の戦士にふさわしい死を用意してやろう。地獄の番犬ケルベロスにも何が起きたかわかるようにな。これがヴォルフ・シュナイダー。アキリーズに挑んだ愚か者だとな」
忌まわしき宿命
「神々の黄昏よ!今こそ始めよ!破滅の夜よ!湧きあがれ!」
≪黒騎士≫は石の床に突き刺さった剣を引き抜いた。
「―――!」
上下から迫り来るの剣の嵐。
「――
(!!!!」
金髪の美女は襲い掛かる《暴君》の牙を四番バッターがホームランを打つように弾き飛ばした。
キィイイイイン!!
―――信じ、られない。
ヴォルフは思わず目を開いた。
襲い掛かる肉食獣の、人間をボロ雑巾のように簡単に引き裂ける刃を、この女はへし折ったのだ。
言うなれば自軍に飛んでくる戦車の砲弾を弾き返すようなものだ。
しかし、ヴォルフが驚いたのはそこではなかった。
ソフィアの持っている細剣が―――持ち主の身長よりでかい大剣になっていたことだった。
血の涙
「リューシーさん! なぜ止める! こいつは君を殺そうと――――」
「違うの、ヴォルフさん! アキリーズ!! ごめんなさい!ごめんなさいっ! わたしが……全部、わたしが悪いのよっっ!! うう、ああ……」
「……」
消えない思い
「ヴォルフさんには暖かい家があります。羨ましいです。待っている家族がいるって。わたしはそーいうの、ずっと昔になくしちゃったから……」
「………俺じゃ駄目か?」
「―――――え?」
「俺がその「待っている家族」になるってのは駄目なのかい?」
「ヴォルフさん。それって…」
そして
運命の出会いが待っている

疾風怒濤!!
strum und drang!!
「野郎どもっ! やっておしまい!」
「…俺たち、まるで悪者みたいだな」
「……みたいじゃなくて、そうなんだよ」
―――伝説が、はじまる…